都立入試を振り返って

所感

東京都の公立高校の入試がほぼ終了いたしました。受験生のみなさん、本当にお疲れ様でした。

私の教室では合格率86.7%でした。今年の都立入試の倍率は1.4倍でしたので、かなり頑張ってくれたのではないかと思っています。今年は内申点で苦しんだ生徒さんが多く、試験の得点力が非常に問われた印象です。「入試が始まる1秒前まで頑張り抜け!」と言い続けてきましたが、終盤で得点力が上がった生徒さんも多く、みんな粘り強く頑張ったと思います。

いろいろと話したいことはあるのですが、今回は不合格になってしまった生徒さんにクローズアップして、大切なことをお話していきます。

まずいくら合格率は良くても、100%出ないということは、当然不合格者も出てしまったということ。猛省をしなければなりません。受験生を見てきて、ふと考えたことを書いていきます。

明確な目標を持つこと

例えば

医者になりたい大学は医学部に進学医学部進学の高いトップレベルの高校が自分の志望校、となりたい将来から逆算することが一番理想的な目標です。このような明確な目標を持っている生徒さんは勉強に対する取り組み方が違います。

ただ現時点で自分の将来への目標がそこまで決まっている人はそう多くないです。何になりたいか分からない、とりあえず大学には行きたい…。それでもいいのです。将来については高校に行ってからも考えられますから。ちなみに私がこの仕事に興味をもったのは高校1年生の入学式後でした(また機会があればお話します)。

志望校選択で望ましくない選択理由が2つあります。

①自宅から近い。

②偏差値が高い、または自分の偏差値(学力)と合っている。

この2つに共通して言えることは、自分の志望校について深く考えていないということです。深く考えていないと言うことは、自分の志望校への愛着がないということ。こうなってしまうと「絶対に合格するんだ!」という一念にブレが生じてしまいます。

高校について本で調べる、先生や先輩・親兄弟からたくさん情報を得る、オープンキャンパスに行って学校の雰囲気をつかんでくるなど、志望校選択への努力はいくらでもできます。努力して選んだ高校だからこそ合格したい、そのために勉強しなきゃ!という思いが強くなります。

不合格だった生徒は、ここが足りなかったです。志望校にした理由が「偏差値が高いから」でしたので。またある生徒は、私立・公立ともに出願の直前になっても決まらず、志望校決定にあたふたしてしまいました。明確な理由も大切ですが、早くに目標を決めることも大切です。

依存しない

授業が終わると必ず質問に来る生徒がおりました。授業がない日は必ず自習にきて、先生の暇を見つけては質問。本当に努力して勉強していたと思います。その姿勢はとても素晴らしいです。ただその内容もしっかり見なければなりません。

例えば分からない問題があったとしましょう。①「まあいいや」と放置する。コレ1番ダメです。分からないことはためてはいけません。ますます勉強が分からなくなってしまいます。②すぐ先生に質問する。一見良さそうですが、質問する前に一つの段階踏まえなければなりません。それは

自分のできる限りの努力はしたのか

です。英単語や漢字など、自分で調べられるものは質問NGです。一生懸命に考えて、考えて、考えて、それでも分からければ質問してください。できる限りの努力をすればするほど、質問の効力は高まります。できれば「自分はこう考えたのですが」と解答へのプロセスも先生に伝えましょう。そうすることで、つまづいてしまった明確な理由が分かります。

生徒の質問に対して、最初から最後まで解法を一方的に説明している先生が少なくありません。教えた先生も、教わった生徒もとても満足しているような様子ですが、実はそこに大きな成長が見られないことが多いです。生徒がどのように考えたのか、1つ1つ丁寧に聞きながらつまづいてしまったポイントを指摘して、解くためのヒントをこまめに伝えている先生もいます。上手だなと私も勉強させてもらっています。

生徒から頼られると何でも協力したくなってしまうのが先生です。とてもよく分かります。ただ依存してしまっているのであれば、こちらからしっかり指導しなければなりません。まずは自分で考えること。言い方が間違ってしまうと、「この先生は質問しても答えてくれないんだな」とマイナスにとられてしまうので注意ですが。質問の意義を日頃からきちんと生徒に伝えていれば問題はありません。

不合格だった生徒さんは、教室の中でもトップクラスの努力家でした。本当に悔しかったと思います。ただこれがゴールではありませんからね。自分をもう一度見直し、次の大学受験で必ずリベンジしてくれることと思います。私自身も今年をよく振り返り、さらなる指導力アップを目指していかなければなりません。毎年のことなんですけどね。

生徒と先生、お互いに切磋琢磨が私のモットーです。というわけで今回はここまでです。ありがとうございました。

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