
大分不穏な空気を感じさせてしまうタイトルで申し訳ありません。ですが今回お話しすることは、実話の上に成り立っています。もしこれからお話しすることが進路相談で行われたら、本当に気をつけてください。
先生は生徒のことを本当に考えているの?
先生なのだから、そんなことは当然だ!、とお考えの方も多いかと思います。
私自身もそう考えています。
私は塾講師という立場ですが、生徒のために自分のできることを最大限行っていきたいと思っています。
生徒の考えていることを尊重し、生徒の希望を叶えるお手伝いをしたい。
きれい事ではなく、本気でそう考えています。
ですが、生徒のためではなく、他のことを優先して考えている先生もいるというのが残念ながら現実です。
ではどんなことを優先しているのか?それは指導者としての「進路実績」です。
進路実績を優先する先生
まず進路実績とは何か?
簡単に言うと、自分の受け持つ生徒が合格した学校が、自分の指導者としての実績となるということです。
もちろん合格させている学校が有名校であればあるほど、評価の高い実績となります。
「あの先生は数々の有名校に合格させている」と箔がつけば、生徒・保護者はその先生に指導をお願いしたくなるものでしょう。
先生としての評価も高くなり、周りから敬意のまなざしが集まり、報酬も上がるかもしれません。
そんな理由から、1人でも多くの生徒を有名校に合格させたいという気持ちになるのも分かります。
ですが本当にそれで良いのか?という疑問があるのは私だけではないでしょう。
例えば東大に合格できるほどの学力がある生徒が、調理師になりたいので専門学校に行きたいとしたらどうでしょう?
それだけの学力があるのにもったいない、と正直思うところもあります。
ですが生徒の気持ちを理解し、否定することはないでしょう。
ところが進路実績を優先する先生だと、その生徒の考えを真っ向から否定し、東大受験を何としてでも実現させようとします。
このような例は予備校や学習塾などの民間教育に多い、と思われがちですが、学校でもそのような傾向がある先生が多いという話を耳にします。
次はそのような進路面談の具体例として、3つの実話をお話ししていきます。
実話3選
①実績優先の塾の講師(よくあるパターン)
私が以前勤めていた学習塾でのお話しです。
美術を頑張りたいと、芸術系の高校に進学しようとしていた生徒がいました。
その生徒は学力も高く、トップ校にも挑戦できる力がありました。
そんな生徒に対し、2者面談(生徒・講師)を行い、志望校の変更を促しました。
その生徒は美術に対する熱い気持ちがあり、志望校変更を受けれませんでした。
すると講師は3者面談(生徒・保護者・講師)に持ち込み、保護者を説得、ついには塾長まで出てきて4者面談にまで発展しました。
「その高校に行って自分に合わなかったら大変なことになる」、「美術で成功する人間はごくわずか」、「普通高校に行ってその後美術の道に進んでも遅くはない」などのワードが何度も飛び交ったようです。
どうやら塾長からもトップ校を受けさせろ!というプレッシャーがあったそうで、面談に携わった講師も塾長・生徒の両者の間に入って大変だったと言っていました。
その塾としてはトップ校合格を1人でも多く出したいという方針がなにより最優先だったと思います。
確かに専門的な高校を目指す生徒には「本当にその学校で良いのか?」は確認します。ですがその塾は生徒よりも塾の実績を優先していたことに問題があったと思います。
②ノルマを達成しようとする公立高校の先生
とある上位の公立高校の先生の面談について聞いた話です。
その高校では私立大学よりも国公立大学の合格実績を求めているようでした。
塾生の1人がその高校に通っていたのですが、学校の成績をトップ5以内にキープする優秀な生徒でした。
その生徒は、あるトップ私立大学の指定校推薦を考えていました。
指定校推薦とは、大学が「この高校でこの基準をクリアした生徒なら合格させる」という推薦試験です。学校内で決められている基準(内申点・人数)をクリアできれば、ほぼほぼ合格が確約される試験です。
私立大学で採用されている制度になります。
ですがその高校は塾生に対し、指定校推薦をやめさせ、国公立受験を勧めてきたのです。
学校内でそれくらいの好成績を修めていれば、国公立大学に合格できると踏んだのでしょう。
ですが基本的に国公立大学は5科目受験、私立大学受験は3科目受験となり、この決定は受験勉強する上でかなり重要なポイントとなります。
学校の先生は「5科目で勉強しておいた方が私立受験にも受かりやすい傾向にある」と全く根拠のない進路指導を行い、国公立受験を仕向けたようです。
その生徒は学校の言うとおりに5科目の受験勉強を行いました。ですが国公立大学は不合格、私立大学も指定校より下のレベルの大学にしか受からないという結果に終わってしまいました。
問題は生徒のことよりも国公立大の合格者を輩出したいという学校の方針を優先させたこと。
公立高校の先生ですよ。ちょっと信じられません。
地方公共団体が「ある程度の成績がある生徒には国公立大学を受験させるべき」という、全くもって不明な方針があるとの話も聞いています。
そんな方針の元で進路指導される生徒たちは本当にかわいそうとしか言い様がありません。
③私の高校時代のとある先生の話
私が通っていたとある高校教師の実話です。
私の友人なのですが、高校でもトップの成績を継続していた生徒でした。
その友人は行きたい大学があり、自分の成績よりもレベルは下でしたが、その大学に推薦で合格を決めました。
ですので進学先はすでに決定していた状況です。
ところがその友人の担任は、成績が良いのにもったいないとのことで、担任が勧める上位レベルの大学を一般試験で受験させようとしてきたのです。
仮に合格しても進学先は決定していますから、入学辞退することになります。
驚くべきは、受験に必要な受験料やその他費用(宿泊代や食費等)をその担任が全て支払うという提案をしてきたようなのです。
そこまでしたのはもちろん、自分の指導実績のためでしょう。
結局私の友人は担任の申し出を断りました。
実績づくりのために、そこまでするのか、と考えさせられてしまう話でした。
最後に
いかがでしたでしょうか。
これまで述べてきたように、進路実績が欲しい先生はたくさんいます。
もしかするとみなさんの身近にもそのような先生や学習塾が存在するかもしれません。
これからたくさんの先生たちから進路のアドバイスをされると思いますが、自分のやりたいことや考えをしっかりと持った上で、進路面談に臨んで欲しいと思います。
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