
「100年に1度のパンデミック」といわれるコロナウイルスは、人々の生活に大きな影響を及ぼしています。同じように学習塾業界にも大きな変化をもたらしています。
今回は、コロナウイルスが終息した後、学習塾はどう変わっていくのかを、私なりに考えてみました。
オンライン授業について
私の塾でも取り入れておりますが、現在、Zoomなどのアプリを使ったオンライン授業を行っている塾が非常に多いかと思います。
教室へ足を運べない生徒にとって、オンライン授業はまさになくてはならない授業形態になりつつあります。
オンライン授業を取り入れたことによって、「学習機会をきちんとつくってくれて、ありがとうございます」とお礼の言葉もたくさんいただきました。
オンライン授業は画面越しとはいえ、双方向的なコミュニケーションが可能です。私も実際に使ってみてですが、生徒に十分学習内容を指導することも可能であると考えます。
これらのことからオンライン授業はコロナウイルス終息後も継続して行われていくと考えています。
対面授業をメインにしている塾も、オンライン授業をオプションとして取り入れていくことができます。
例えば対面授業で「2次関数」の扱うとき、復習授業として「比例・反比例」、「1次関数」をオンライン授業をつかってオプション授業を組むことも可能です。工夫次第では、売り上げアップにもつながるツールとして活用できるのではないかと思っています。
今後オンラインの需要は高まってくると予想されます。各学習塾もいろいろと手法を考えて、実践してくるのではないでしょうか。
動画授業について
動画授業はビデオデッキの時代から使用している塾もあり、近年はインターネットを使っての動画配信型が主流になっています。
最近動画授業は、学校でも活用されていると聞きます。
先生自身が授業動画を撮影し、決まった日時に生徒に見てもらう形や、動画配信を行っている教育サイトから授業動画を採用している学校もあるらしいです。
自治体によっては地元の先生たちを集めてサポートチームをつくり、各学校で使用できるような授業動画を作成しているところもあるようです。
Youtubeの普及などにより、個人でも質の高い動画をつくることができるようになりました。
大手の塾のような撮影スタジオがなくても、パソコンやiPad等のタブレットでも撮影できますので、個人塾でも動画授業を行うことは十分可能です。
黒板やホワイトボード等でライブ授業を撮影することもできますが、パワーポイント等活用するなどの工夫も可能です。
これらのことから考察すると、動画授業についても、今後需要が高まってくるのではないでしょうか。
大手の学習塾は決まった単元について進める傾向がありますが、地域密着塾では、その地域の学校に合わせた授業を動画で配信することができます。大手ではできない柔軟な対応を図ることが可能です。
きちんと生徒の受講状況を把握することができれば、自宅での学習が十分可能になります。
動画授業の質が高まれば、塾の評判を呼び込むこともできますので、積極的に取り入れていく学習塾もあるかと思っています。
保護者とのコミュニケーションについて
保護者とのコミュニケーションも変わってきており、さまざまなツールを活用している学習塾も多いかと思います。
保護者への連絡事項は直接会って話したり電話したりしなくても、メールやラインなどを活用して連絡しているケースが多いかと思います。
また今後は入塾手続きや、進路面談等も、オンラインで行うことも可能になるかと思います。
保護者にとってみれば、直接来塾する手間も省けます。仕事があってなかなか来塾できなくても、時間の自由度が増しますので、面談など設定しやすくなります。
今後は画面上でのコミュニケーションが増えていくものと予想しています。
教室がなくても開塾できる
オンライン授業等をメインにしている塾は、教室がなくても開塾できるのではないかと思います。
教室がない=家賃等払う必要がなくなるので、経営者にとって好都合です。
保護者と交わす書類などは全てデータで処理。生徒の学習管理は、パソコン上で一括管理。直接会話をしたければ、オンラインや電話でできます。
生徒は塾の時間になればパソコンを開き、授業が終わればパソコンをシャットダウン、通塾時間は0で済みます。
オンライン授業の普及により、もしかするとこのような、”無教室塾”がだんだん増えてくるかもしれません。
通信教育がますます普及
スタディサプリを始め、通信教育がますます普及されてくると思います。
私自身も自分の勉強のため、スタディサプリを登録していますが、授業の質はかなり高いです。
しかもかなりの低価格設定ですので、教育費が高いご家庭にとっては嬉しいところです。
問題となるのは、きちんと自分で管理して学習できるかというところにかかってきます。
今では学習管理もサポートしてくれる通信教育も増えていますので、きちんと活用できれば素晴らしいコンテンツになります。
学習塾と併用して使うと良い、と最近目にしますが、学習管理ができれば通信教育だけで十分という生徒も増えてくると思います。もしかすると学習塾のニーズが減っていってしまうかもしれません(→ちなみに私は学習塾は今後も必要不可欠なものと思っています。その話は別の機会に)。
今後の変化に対して懸念されること
1.対面授業の必要性
私個人の意見ですが、対面授業に勝るものはないと思っています。
生徒の学習の様子を見ることができますし、講師の熱のこもった授業は、対面でないと感じられないものです。
授業のわかりやすさにおいても、画面越しよりも人から直接指導された方が、断然わかりやすいと思っています。
特に地域密着型の塾であれば、分からないところがあればいつでも来てもらう、自習に呼ぶなど、面倒見の良さが売りになってきます。オンライン等でもできないことではないと思いますが、「塾に行く」という安心感が生徒にも保護者にも感じられるものではないでしょうか。
ですがオンライン授業や動画授業の利点も大きいです。
先ほど申し上げたように、前の学年の既習事項の復習をオンライン授業等でできますし、動画授業を撮りためておけば、年度途中の入塾生に追いつき補講も可能です。工夫次第でかなりの効果が期待できます。
以上のことからオンライン授業はあくまでオプションでの活用、メインは対面授業というのが私の考えです。対面授業は学習塾において、なくてはならないものだと思っています。
2.保護者・生徒とのコミュニケーションの希薄化
保護者との連絡において、直接会って話す以上のコミュニケーションはありません。いくらオンラインやメール、ライン等が便利だと言っても、コミュニケーションの質が違います。
生徒の気持ちや講師の思いなど、電話や直接会って話さないと感じられないものがあるはずです。
将来的な未来を考えたとき、極論、入塾してから卒塾するまで、保護者・生徒と直接1度も会わないなんてこともありえるかもしれません。
コミュニケーションの希薄化は普段の生活においてもどんどん加速化しています。
「成長」を考えたときに、やはり必要になってくるのは、人と人との関わりではないでしょうか。
やはりお互いにきちんとコミュニケーションを図る機会を大切にしていく必要があるかと思います。
まとめ ~私個人の感想~
ここまでコロナウイルス終息後の予想を考えてきました。
キーワードはやはり「オンライン」となるでしょう。
私自身もオンライン授業を活用していて、非常に学ぶべきことが多い毎日です。
私のようにパソコン関係にあまり強くない人間であっても、今回の事態を受け、オンライン授業に挑戦することになりました。
きちんと授業として成り立たせられるのか、当初はかなり不安で仕方なかったです。ですが今ではオンライン授業を普通に運用できている、そんな方たちが多いかと思います。
みなさん「できちゃった」んですね。
オンラインという武器を手に入れた学習塾は、今後もオンラインを活用しない手はないかと思います。これまで説明したとおり、有用性がたくさんあります。
離島などで暮らしている方は、どうしても受験勉強の環境が少なく、わざわざ都市部まで行って塾に通っていると聞きます。ですが今後オンライン授業や動画授業等がより普及してくれば、自宅で受験指導を受けることができます。
どこにいてもきちんとした指導を受けることができる、これもオンライン授業の強みです。
オンライン授業で懸念されることは上記の通りですが、さらにもう一つ付け加えさせてください。
塾講師として常に心にとめておくべきことは、「その授業で生徒は何を得たのか」、つまり授業のわかりやすさであり、クオリティーです。
結局のところ、どのような武器を手に入れても、学習塾は授業の質が大切なわけです。手法ばかりに気をとられて、肝心の授業をないがしろにしてはなりません。
学習塾の目指すべきところは決まっています。今後どのように変わっていっても、生徒のことは決して忘れることなく、指導力の向上に努めていくべきであると感じます。