今回は生徒に“させる”ことについての考察です。大人が子どもたちに“させる”ことはいかに効果が薄いのか、ご理解いただけるかと思います。
大人は子どもに指示をしがち
「早く起きなさい」、「早く寝なさい」、「お手伝いしなさい」など、親は子どもに何かと指示をする傾向があります。
子どもを立派に育て、社会に羽ばたいていくために必要なことを教えていくのが大人の使命です。
その気持ちが強く、大人は子どもに多くを話しがちです。
ですが「~しなさい!」と子どもに言ってもなかなかいうことを聞かない、そんなケースが多々あります。思春期になったらなおさらです。
それでも親は子どもに言うことを聞かそうと「~しなさい」を連発します。
そのために大切になってくるのは「伝え方」・「教え方」、そして「接し方」です。
親が管理してはいけない
私の塾でのお話をさせていただきます。
とある生徒の親のお話なのですが、とにかく塾に様々な要望を伝えてきます。
・英検を受けさせたいので、子どもに受けさせるように誘導し、対策をしてください。
・テスト前に5教科の過去問数年間分を課題として出してもらい、進捗をチェックしてください。
・塾内の月例テストは夏以降に受けさせますので、それまでに基礎力を上げてください。
など、子どもの勉強に対してこと細かな指示をしてくるのです。
さすがにこれは一度三者面談をしたほうがいいな、ということで生徒・保護者・私で三者面談を行いました。
そこで驚きの事実が明らかになります。
英検を受ける、過去問を数年解く、月例テストは受けない、その内容を生徒は一切知らなかったのです。
親の単独行動で、生徒の意見は一つも聞かない、話もしないという姿勢でした。
親の指示で自分の子どもは成績が上がる、と本気で思っているようでした。
私ははっきりと言いました。
「それでは成績は上がらないと思いますよ」と。
一番の問題点は「子どもに勉強の気持ちがない」ということでした。
親だけが焦って、いろいろやらせようとするのですが、子どもは完全に受け身で勉強しているだけなので、一切の向上心がありませんでした。
成績を上げよう!という前向きな気持ちがない限り、成績が上がりません。これは断言できます。
加えて親と子どものコミュニケーションがほとんどないことも分かりました。
普段ご家庭でコミュニケーションもなく、反抗心が芽生えている子どもが、親の指示を真摯に聞くとは考えづらいです。
親が子どもの全てを管理しようとすることが間違っているのだと理解していただきたいです。
大人が子どもに「させよう」とする気持ちと反比例で子どものやる気は低下していくことにつながります。
子どもの成長を信じる
子どもに口出しをしない、子どものやりたいようにさせる、親がこういったスタンスである生徒のほうが、結果的に良い成績を収めるというケースが多々見られます。
ゲームやスマホなどを永遠とやらせるという意味ではありません。
勉強へのモチベーションがないのであれば、それは仕方がないと割り切ることも必要です。
子どもは何かのきっかけで勉強へのモチベーションは上がっていきます。
それは親の一言かもしれません。
学校の先生の一言かもしれません。
友達からの一言かもしれません。
大人は子どもの成長を温かく見守ることが大切です。無理矢理勉強をさせようと引っ張るのはお勧めできません。
子どもの自主性を信じることが大切です。それが成績を伸ばす一番の要素です。
第3者におもいっきり任せてみる
塾に通いだしてから勉強にやる気が芽生え、成績がどんどん上がっていった。
塾講師をしている中で、こういった生徒は数多く見受けられます。
私も塾生には「勉強面に関して保護者様は何も言わなくて大丈夫です。我々に任せてください!」とはっきり言ってしまいます。
第3者から言われたほうがモチベーションにつながりやすいことは多々あります。勉強面に関してはなおさらです。
保護者からすれば自分の子どもにいろいろと言いたいことはあるかと思いますが、なかなか子どもをやる気にさせられないのであれば、ぜひ第3者に任せてみてください。
最後に
子どもにやる気を出してもらう、なかなか難しいことです。
我々学習塾で働く者にとっても永遠の課題であると思っています。
答えはありませんが、1つ言えることは「~させる」のは子どもの成長を妨げる要因の1つであることです。
子どもの自主性が何よりも大切です。
今後も子どもの自主性を伸ばすためにどのような対応をしていったら良いのか、模索していく必要があります。